2017.02.02 投稿者:JTC-礒田修幸
04-ドラマ「嫌われる勇気」第4回より(アドラー心理学)
こんにちは。 講師/心理カウンセラーの礒田です(^^)
アドラー心理学を題材とした書籍「嫌われる勇気」。
もう第4回目が終わりました。この連載も1ヵ月、今年ももう1ヵ月が過ぎ、2月に入り時間がたつ早さを感じますね。
(※以下、ネタバレになる部分もありますので、ご注意下さい)
さて今回のテーマです。
「承認欲求を満たすことは他者の人生を生きること」
「自分が自分の為に生きていないなら誰が自分を生きてくれるのか」
「嫌われることを恐れず自分を生きよう」
「家」に縛られ、「自分」を生きることが出来ない兄弟が今回の事件の主人公たちでした。
幼いころから「○○さん家のお嬢さん」と呼ばれ続け、自分らしさ(=アイデンティティー)を
ずっと認めてもらっておらず、「○○さん家のお嬢さん」ではなく「自分」であることを認めてほしい…
その想いからゆえの偉大な政治家の父との確執のお話でしたね。
ドラマをご覧になられていたみなさまは、今回の内容をどのように感じたでしょうか?
***
僕の実家はお寺です。2人兄弟の長男として産まれました。
小さい頃から「将来はえらいお坊さんになるんやで~」という親や親戚からの言葉に
優しく愛情深い家族の関わりに、自分がそうなることに疑問すら抱かず育っていました。
しかし、小学校を卒業し、中学生、高校生と思春期に入るにつれ
「自分は限られた世界で生きているのではないか」
「親に決められたレールの上ではなく、自分の足で歩んでみたい」
「この社会での自分らしい役割、職業は何だろうか…」
と悩むようになりました。
また、親の優しさに上手く反抗できず
「自分の意見を率直に伝えたらきっと悲しませてしまうだろう…」
「不安にさせてしまうだろう…」
との思いで「お寺以外の道も探してみたい」という思いを打ち明けられずにいました。
その頃からでしょうか、言葉で上手く自分の意志を表現できないからか
態度で遠ざけたり、そっけなくなったりと、どんどん親に対して自然に関われなくなっていきました。
俗に言う「反抗期」ですね。(笑)
僕も自分の「自分らしさ」を持てていないような気がして、「○○寺の長男、将来の住職」という世間からの目を気にして生きていたように思います。
***
では、一般的に「自分らしさ」はいつ決まるもなのでしょうか?
エリクソンが提唱した「発達心理学」では、私たちの人生を8つのステージに分け、その段階ごとに身体だけでなく心も各年代の課題と向き合うことで成長し続けると言っています。
8つある段階のうち、12~20歳:青年期の課題は
「アイデンティティー 対 アイデンティティーの拡散」
つまり、およそ中学生~二十歳になるまでくらいの間は
「自分は何者なのか、どんな役割があるのか、自分らしさとは何なのか」
という悩みを持って当然なのです。
***
僕はずっと「○○寺の長男、将来の住職」というのは自分ではない気がしていました。
「どこかにもっと自分らしさがある、決められた、決まっていた役割なんて自分ではなくて
違う場所に自分そのものがある!」
そんな想いを持ち、長い葛藤が続きました。
癒しに関わる人になりたい、カウンセラーとして誰かの助けになれたら…
そんな想いが自分に出来始めた時も、親から言われた
「お寺をしながらしたら?」
という提案を、半ば良いと思いながらも受け入れられず
反抗することで、自分らしさを見つけるように今の職に就いたのを覚えています。
自分の中にある、自分でもあることが分かっている
「お寺の長男、お坊さん」というアイデンティティーを
受け入れてしまうこと=自分でなくなる
そう思っていたのだと思います。
でも、「お寺の長男、お坊さん」というのもれっきとした事実、アイデンティティーであって
その後、お坊さんになっても、ならなくても
自分である事に変わりはなく、ただ
自分らしくあれないのは、自分らしさが分からないのは
「自分が自分自身を認めていないから」
「受け入れがたい部分が自分にあるから」
だという事が、随分と自己受容が進んだ今になって分かりました。
自分探しの旅、とよく言いますが
いくら世界を変えても、環境を変えても
「自分自身と向き合い、自問自答し、自己受容する」
ことを避けていれば、きっと自分らしさを見つけるのは難しい道のりに変わると思います。
***
自分が自分であること。自分になること。
きっとこれは人生をかけたテーマであり、これからも人生の課題は続き
その度に悩むことだと思います。
でも、悩みを楽しみながら、一つ一つ進んでいこう…そう思える今回のテーマでした。
今回も長くなりました。次回のテーマも楽しみです。
乱文を最後まで、お読みくださりありがとうございました。
講師/心理カウンセラー 礒田修幸
n.isoda@jtc-web.jp