2017.03.09 投稿者:JTC-礒田修幸

09-ドラマ「嫌われる勇気」第9回より(アドラー心理学)

講師/心理カウンセラーの礒田です(^^)

 

アドラー心理学を題材とした書籍「嫌われる勇気」

今回は第9回目。

最終回まであと1回と終盤が近づいてきました。

3ヶ月がたつのもあっという間ですね。

 

続けてお読みくださっている方、ありがとうございます(*^^*)

今回も話の内容よりもそのテーマに焦点を当てて綴っていきます。

(※以下、ネタバレになる部分もありますので、ご注意下さい)

 

さて今回のテーマです。

「トラウマの否定」

 

アドラー心理学を体現し、今までも多くの難事件を解決してきた安藤刑事。

しかし、完全にアドラー心理学に沿った生き方はできず

彼女自身が昔誘拐されたという「過去」のトラウマに縛られていました。

 

目的論を唱えるアドラーはトラウマを否定しています。

人は過去の悲惨な経験に縛られトラウマによって支配されるのではなく

“目的のために過去の体験を持ちだしている”のだといいます。

 

例えば、幼い頃、両親の離婚で仲の良い関係が壊れるのを間近で体験してしまった事がトラウマになって結婚が出来ない。…のではなく

「結婚をしたくない目的の為に、トラウマという原因を引っ張り出しているに過ぎない」

と彼は言います。

 

なかなか厳しい考え方ですね((+_+))

 

***

 

当学院ではインナーチャイルドセラピーを授業でお伝えしています。

 

 

インナーチャイルド=内なる子どものこと。

大人になった今でも心にいる、私たちの自己の中核です。(主に感情を指します)

このインナーチャイルドが傷つき、痛みを抱えているままだと、大人になった時

 

・人と親密な関係を築けない

・自分を過度に責めてしまう

・自信が持てない

…など様々な生きづらさを体験します。

 

その傷ついたインナーチャイルドを抱え、様々な生きづらさを体験している成人(大人)のことをアダルトチルドレンといいます。

 

アダルトチルドレンが抱える傷ついたインナーチャイルド(=何が嫌だったのか、何がして欲しかったのかというような未完了で満たされていない自然と湧いてくる感情)に気づき、そのまま受け止め、受容することで、癒しを得ていただくこのセラピーは、クライエントの根本治療ともされています。

 

しかし、アドラーの考え方「トラウマの否定」では

インナーチャイルドやアダルトチルドレンそのものが否定されてしまいます。

私たちはこの理論をどう捉えるべきなのでしょうか?

 

***

 

僕は「トラウマ」が今ここに影響を及ぼすことに変わりはないと考えています。

どんな過去も捉え方だとしても、過去の悲惨な体験がきっかけで、その人の持つ考え方や価値観、気持ちに影響が全く出ないことは無いからです。

 

両親の離婚をみれば、少なくとも結婚に良いイメージは持てない方はいらっしゃるだろうし

心や身体への暴力など、その他子ども心に耐えられない経験をすれば、

深くそれが原因となってできる傷は心(潜在意識)に刻みこまれるでしょう。

誰もが出来事全てを子どもながらにプラスに捉えることは出来ないからです。

 

なので、目的の為に過去を持ち出してしまうのも当然でしょう。

そして、ここについてはアドラーも同じ考え方だったのではと思います。

 

***

 

アドラーが言いたかったのは

「過去」に縛られるのではなく、「今ここ」を生きよう

ということです。

 

安藤刑事も過去の出来事の解明や復讐に生きていては、今日ある普通の幸せ…例えば、ご飯が美味しいことや景色が変わり木々が色づき始めること、今生きていることの素晴らしさに気づけず、暗い一生を送ってしまいます。

過去のトラウマ体験があるから…と問題を先送りにしたり、人間関係を築くことから逃げたりしながら過去に縛られてしまうことで、今を生きれなくなることへの警鐘を鳴らしたかったのではないでしょうか?

 

トラウマに縛られている人は、「何故縛られているのか、自分が縛られるようにしているのか」という目的に気づくことで、しっかりと「今ここ」を生きなさいと彼は言っています。

 

 

***

 

しかし、考え方を聴いて行動をすぐに変えられたら、カウンセリングは必要ありません。

世の中、金言はいたるところに散らばっています。それでも、聴いただけ、見ただけではなかなか変われず、苦しむ人が多いので、カウンセリングというものがあります。

 

そこでやはり必要なのがインナーチャイルドセラピーなのではないかと僕は思います。

 

人によっては負担のかかる作業で、開ける必要もない心の扉もあるかもしれません。

全てを一気に開ける必要もありません。

 

でも、今はカギがかかっている扉も、数年後にふっと開けたくなる時が来るかもしれません。

見たくもない自分の一部分、思い出したくない自分の経験も、見たく無い、思い出したくないと思えば思うほど逆に焦点が当たり、自分の中で大きくなっていきます。

幾度となく思い出し、その度に長年味わってきた嫌な感じ、苦しい、怖い、様々な感情を一人でかくして感じ続けるよりも、その感情を条件を付けず、ともに共感し、分かってくれる人がいるだけで、心が洗われます。

 

そうして、まずは相手に受け入れてもらうお手本を見せてもらってから、同じ方法で自分が自分自身を受け入れることが出来たら、考え方を変えようと必死にならなくても、勝手に人は変わります。

 

僕自身、カウンセリングを重ねて受けることで、どれだけ自分が自分を受け入れていないか、責めているかに気づきました。そうしてワークを重ね、感情に蓋をせず、湧いてくる感情を一つ一つ認めていくと、気づくと自然ともうほとんど過去のことは気にならなくなりました(*^^*)

 

「こう考えないと!」

ではなく

「どう感じているか、それをまず受け止めよう」

から「今ここ」は始まります(^^)

 

 

さて、次回は最終回の考察です。

乱文を最後まで、お読みくださりありがとうございました。

文章ではなかなか全てをお伝えしづらいので、よろしければ授業にお越し下さい(*^^*)

 

講師/心理カウンセラー 礒田修幸

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